映画

借りぐらしのアリエッティ

米林宏昌初監督作品。宮崎駿の技術や人物の捉え方をそのままトレースしたように本作は作られている。が、それは悪いことと思わない。若手育成に取り掛かっているジブリとしては最善の方法と思われる。映画監督が表現者としての自意識を働かせはじめたとたん…

日記

気温22.9度、湿度71%、気圧1002.0Pa、曇り。 休日。洗濯をしたり掃除をしたり料理をしたり。 先週一週間で4本ほどDVDを観る。ひとつは前回の北野映画。他は、以下のもの。 珈琲時光 [DVD]出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ発売日: 2005/03/29メディア: DVD…

その男、凶暴につき

北野武はこのような映画を撮っていた。彼の笑いは狂気と紙一重だ。北野演じる刑事我妻は、職業を聞かれれば「鉄砲の通信販売」と応える。追いつめた犯人を車で轢いても笑いの間は忘れない。したがって結末が「きちがい」じみてくるのは必然だろう。しかし本…

日記

気温8度、湿度59%、気圧1018.1hPa、曇り。 9時起床。シアターキノにて『ずっとあなたを愛してる』を鑑賞。素晴らしい作品。主演女優のクリスティン・スコット・トーマスの演技も最良のものだ。原題は"IL Y A LONGTEMPS QUE JE T'AIME"。監督はフィリップ・…

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の感想

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【初回限定版】 [Blu-ray] 珍しいことだが、あれこれ考えずに観てしまった。面白かった。 エンターテイメントとして、伏線とその回収、戦闘と日常の緩急、プロットの明快さという点で、…

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

そういえばこの間、レイトショーで『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を見てきました。スコット・フィツジェラルドの原作を脚本化した、エリック・ロスの手腕が冴え渡っている作品です。 エリック・ロスといえば、あの『フォレスト・ガンプ/一期一会』の脚…

スカイ・クロラ

paiste じつは、3週間くらい前にポニョを二回観た後スカイ・クロラも観たけれど、感想は書かなった。理由は、私にはピンと来るものがなかったから。 私には、押井監督がすでに持っている手札で遊んでいるようにしか見えなかった。むろん、技術的な新しさや意…

スイミング・プール

フランソワ・オゾン監督の『スイミング・プール』は『8人の女たち』の翌年に公開されている。主演はおなじみのシャーロット・ランプリング(サラ)とリュディヴィーヌ・サニエ(ジュリー)。物語は推理作家サラが編集者ジョンの事務所へ赴くところから始まる…

『ぐるりのこと。』

カナオ(リリー・フランキー)は頼りなく生活力に乏しい夫で、片方翔子(木村多江)は夜の夫婦の営みすら日を決めカレンダーで印をつけるほど几帳面な妻である。冒頭、カナオが家に帰ると翔子との痴話喧嘩が始まる。そこはかなりの長回しで撮られていて、出…

胡同の理髪師

とてもいい映画を観た。哈斯朝魯(ハスチョロー)監督作品『胡同の理髪師』である。 2008年におこなわれる北京オリンピックのしわよせは、1964年に開催された東京オリンピック同様、急激な都市開発というかたちであらわれてきた。北京旧城内の一角(胡同)に…

アイム・ノット・ゼア

いくつか映画を観たのだけれど、記録をとってないからなにを観たか忘れてしまった。だからあれほど(以下省略)。 そのなかでいちばん最近に観たのがトッド・ヘインズ監督作品『アイム・ノット・ゼア』。ボブ・ディランを6人の俳優が様々な角度から捉えてい…

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生

映画『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』において問題となったのは、写真が瞬間を切り取るものであるとするならば、映画はなにを映すものなのかということだとおもう。 アニー・リーボヴィッツが、スーザン・ソンタグの最期を撮った写真。彼女…

いのちの食べかた

昨日は、ニコラウス・ゲイハルター監督の『いのちの食べかた』を観ながら、近現代の哲学にについて思い浮かべることになった。それも、あまりにも単純かもしれないが、テクノロジーについてである。 映像が美しい。たとえばビニールハウスを丘の上から眺めた…

小説家を見つけたら

『小説家を見つけたら』は、文学や音楽またはショーン・コネリーのファンにとってはたまらない作品だろう。 ウィリアム・フォレスト(ショーン・コネリー)は、40年前に処女作がピューリッツアー賞を受賞するも、以降一切本を出版せず、まるでサリンジャーや…

ショコラ

『ショコラ』(ラッセ・ハルストレム監督作品)は良く出来た映画だ。 まずなにより上手い。冒頭からして、まるでゲームのようなアングルを駆使し、因習にとらわれた村をキッチュにみせる。そこに北風とともにあらわれた親子が、不思議で魅力的なチョコレート…

エリザベス:ゴールデン・エイジ

『エリザベス:ゴールデン・エイジ』シェカール・カプール監督作品、ケイト・ブランシェット主演。10年前の同監督同スタッフによる『エリザベス』の続編である。 素晴らしいエンターテインメント大作だと思った。きちんと作られていて、職人的な完成度の高さ…

潜水服は蝶の夢を見る

映画『潜水服は蝶の夢を見る』の監督、ジュリアン・シュナーベルは新表現主義の画家としても著明である。私は美術には門外漢であるのでくわしくは知らないが、この作品に関しては、とにもかくにも「きれい」と表現するのが妥当だろう。しかしながら、むろん…

アメリカン・ギャングスター

リドリー・スコット監督作品『アメリカン・ギャングスター』は、最初から最後まで観るものの期待を裏切らないという点で、優れたエンターテインメントだ。むろんこれは、半分皮肉であって、退屈だということでもある。麻薬王フランク・ルーカスの半生と、リ…

エンジェル

フランソワ・オゾンの『エンジェル』を観に行ってきた。オゾン本人が述べているように、古き良きハリウッドへのオマージュは随所にみてとれたし、物語性も十分だった。僕はエンジェル・デヴェレル役のロモーラ・ガライの美しさをとらえた映像の確信犯的(文…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を今更みてきた

結論として一言でまとめるのは困難だけれど、ひとつだけ思うのは、世の高い評価とは逆に、詰め込みすぎだと思った。もちろん、後の展開の思惑もあるだろうし、そうせざるをえなかったのだろうと思う。けれども、この『序』だけを観れば、「旧世紀版」エヴァ…

断片

ゴダールのアワーミュージック [DVD]を観た。三千部限定のを買ったらしく、2252部目だった。僕は天国編で泣きそうになった。なぜかといって、ゴダールが天国を撮るということに、とても心動かされるものがあったからだ。戦争が地獄だとすれば、人生は煉獄だ…