アメリカン・ギャングスター

アメリカン・ギャングスター

  • リドリー・スコット監督作品『アメリカン・ギャングスター』は、最初から最後まで観るものの期待を裏切らないという点で、優れたエンターテインメントだ。むろんこれは、半分皮肉であって、退屈だということでもある。麻薬王フランク・ルーカスの半生と、リッチー・ロバーツ刑事の半生。それぞれが必然として交差する地点にあるものは、いわずもがな、だろう。いかにもリドリー・スコットという描写はやや抑え目で、殺人のシーンもある程度はショッキングかもしれないが、これまでのリドリー・スコット作品と比べればそれほどでもない。総じて「これを映画にする意味とは何だったのか?」という疑問しか残らない作品だった。もちろん、「重厚な演出」とか「大人」とか、そういう評価をしたいならば、それはその人しだいである。