カズオ・イシグロ『日の名残り』

小説が文章によって書かれるということを、最大限に利用した作品である、というのは誰が読んでもあきらかで、何を言ったことにもならない。一人称ゆえに錯誤が生じることや見過ごされること、ミス・リーディングが発生することなどは、むろん小説上の重要な…

大いなる沈黙へ ─グランド・シャルトルーズ修道院

「映像」と「音」は、映画にとって常にラディカルな問題である。歴史的にはもちろん、あるいはゴダールの試みだってそうだった。ただ、それが表現手法として前衛的(radical)であったとしても、根源的(radical)であるかは議論が分かれるかもしれない。 本…

中村善策「明科の里」

北海道立近代美術館で開催中の「ミュシャ展」は、思いの外面白かった。目の肥えた御仁たちからは様々に注文があがるのだろうし、それはそれで良い。だが、美術館が、近美コレクションとして「国貞が描く、江戸美人勢揃い」を同時開催しており、ミュシャを観…

日記

仕事。今日はさっさと終わらせて帰宅し、ランニング。気分は比較的ざわついている。こういうときは、たいがい怒りっぽかったり、ミスをしがちだったりするので良くない。 距離:10.1km 時間:51'28 ペース:5'05/KM

ねじの回転 / デイジー・ミラー

実は初めて読む。私は、ヘンリー・ジェイムスは『鳩の翼』で良いという気がする。つまり、『鳩の翼』で示された以上のものが、ここにあるのかといえば、ないのではないか。というのは、なんだか理不尽な評価だが(なにせ、むろん、『デイジー・ミラー』や『…

日記

風が強いので寒く感じる。仕事。比較的暇。急遽代わりに仕事を引き受けることもあるが、自分の仕事量を逼迫するようなものではない。 帰宅後ランニング。路面がだいぶよくなり、雪がほとんどなくなったことに気づく。スノーターサーを洗って干す。 距離:10k…

日記

勉強会参加。西野方面は川が濁流となって、マンホールから水が噴射している状態だった。勉強会が終わった午後はさほど雨は降っていないが、中々走れるような雰囲気の天気ではない。

英語で読む村上春樹

5月は英語ではMayだが、アメリカ人はMayと聞いて"5"という数字は頭に思い浮かばない、だから、原文に意味深長なまでに"5"の数字が頻出する効果が、英語訳では中々でていない(かもしれない)、という話が面白かった。

大乗仏教について――中国の草木成仏論と日本での発展

PP.170-171 中国における草木成仏の論拠は、衆生と草木の相互関連性、あるいは「空」の絶対の立場からみた両者の同質性に求められている。(中略) あるいは、仏の絶対の立場からみると、全世界が平等に真理そのものであって、そこでは衆生と草木との区別も…

日記

時々小雨がふっていたが、おおかた晴れていた。夜になっても結構暖かいものである。 業務後会議、帰宅後はランニング。

iKnow!

本日の間違い prove 証明する completely 完全に proveは意味を、completelyは綴りを間違える。

大乗仏教について――本覚思想

P.158 すなわち、衆生のありのままの現実がそのまま悟りの現れであり、それとは別に求めるべき悟りはない、というのである。それゆえ、もはや悟りを求めて修行する必要はなく、修業によって悟りを求めようとする立場は始覚門とよばれて、低次元の考え方とさ…

日記

暇である。暇だとつい「深き退屈は、現存在の深淵を沈黙せる霧のようにさまよい廻り、すべての事物やすべての人間そしてそれらと共にある、人それ自身をも、一緒に一種不思議な無関心の中に陥れるのである。この退屈が全体としての存在事物を顕示するのであ…

大乗仏教について――密教2(顕教との峻別)

PP.109-110 密教の絶対者大日如来は永遠の宇宙的実体であり、それまでの仏教の仏が究極的には空に帰するのと根本的に異なっている。瞑想のなかで自我がこの宇宙的な大日如来と一体化することにより、自我も絶対性を獲得できるというのである。

日記

先週に比べればそれほど忙しくはない。まだ月曜日だけれども。 訪問先で赤ちゃんに会う。とてもかわいい。仕事どころではない。

iKnow!

本日の間違い manage to なんとか〜する put off 〜を延期する carry out 〜を実施する、行う look over 〜にざっと目を通す look forward to 〜を楽しみにする figure out (答え)を見つけ出す、〜を解明する

大乗仏教について――法華経と密教1

PP.77-80 智邈は『法華経』を前半部と後半部に二分する。(中略)そして、前半を迹門、後半を本門と名づける。迹門・本門の区別は仏身に関するところから来ており、本来の永遠のブッダの説いた後半部分が本門であるのに対して、前半部分はその本仏から垂迹し…

日記

日差しはあるが、比較的寒い。 親類の見舞い。さまざまに思うことはある。

文字について

P.31 文字という問題を考えるときに、どうしても押さえておかねばならないのは、「文字は言葉とともにある」「言葉を離れて文字はない」――これが文字を考えるときの大前提である。 P.69 もし、漢字を文字と定義するならば、ひらがなやアルファベットは文字で…

読書感想文

とりあえず最近読んだ本を列挙(するだけ)。森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)作者: H.D.ソロー,Henry David Thoreau,飯田実出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1995/09/18メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 66回この商品を含むブログ (54件) を見る森…

断片

自分はなにかをなしうると考える、その唯一無二な自分の存在価値は、「社会」ではあっさりと否定される。そしてそれを受け入れていくのが大人になるということだ、という。腹にどっしりと堪えるほどわかる。が、これを、単に「社会」、ひいては「社会人」の…

断片

多くのことは修復不可能だが、同じくらい誤魔化すことはできる。 安楽であることは、涅槃の静寂に赴くことである、という趣旨のことを釈迦はいった。が、現代、安楽であることとは、涅槃の静寂から遠ざかることである。 と、そうした凡夫の「誤解」は古代か…

expiratory muscle strength training

アンチエイジング・ニューロリハドクター: 呼気筋力強化訓練の嚥下機能改善効果(PD/RCT)経由でAspiration and swallowing in Parkinson disease and rehabilitation with EMSTを知る。 去年の日本摂食・嚥下リハビリテーション学会誌上*1では、「EMSTは,…

胃瘻

とある政治家が、胃瘻の患者をみて「エイリアン」と発言したことが問題だという。 経口摂取が日常であり、胃瘻栄養が非日常であるというのは、当たり前のことだ。したがって、非日常の象徴たる「エイリアン」が胃瘻に喩えられるのは妥当だ。不適切だというの…

村上春樹は如何にして「話す」か

むろん,村上春樹氏が「始めに」で書いている. そういう意味ではこれは一般的な意味でのインタビューでもないし,いわゆる「有名人同士」の対談みたいなものでもない.僕がここに求めていたのはーーというか,途中からはっきり求めるようになったのはーー心…

日記

最高気温-2.5度,湿度60%,気圧1010.5Pa,晴一時雪 休み.日用品や食料を買いに出かけたくらいで,特に何もせず.

日記

最高気温-3.1度,湿度56%,気圧1007.6Pa,晴一時雪 仕事.ミーティングで今日が忘年会だとお知らせがあり,すっかり忘れていた私は,比較的遅く出勤したので,仕事が時間内に終わらないだろうと思った.果たしてそのとおりになり,少し残業をして,家に帰り…

日記

最高気温3.2度,湿度72%,気圧1005.4Pa,雪時々曇一時晴 仕事.進行性疾患で1ヶ月に1度評価に訪問している方が,先週より誤嚥性肺炎で入院され,退院したので,今月の評価も含めて訪問.明らかに機能低下をきたしており,羸痩著明.正月も近いため,一時し…

日記

最高気温1.0度,湿度71%,気圧1013.5Pa,曇時々晴後一時雪 眼が痛いと言って仕事から帰ってきた相方.午前2時に私を起こして,激痛に襲われている.救急車を呼ぶか聞くと呼ばないと.手持ちの目薬で朝まで耐える.起きて,眼の充血甚だしく,流行性結膜炎だ…

日記

最高気温-0.4度,湿度62%,気圧1018.4Pa,曇時々雪一時晴 仕事.体に疲れがのこっている.予定していた仕事をはやめにきりあげて帰宅.夕飯のパスタソースをつくってから,相方が帰るまで風呂にはりながら先々週のNHK杯の将棋をみる.食事後,すこし仕事. …