断片

  • 風邪を引いてしまった。朝起きてコーヒーを飲んでいても、コーヒーの味がしっくりこない。風邪薬を飲んだら昼間に眠気が襲って参った。口の中は口内炎ができて、鼻水、咳がとまらない。しかし食欲はある。朝:おにぎり、昼:豚キムチ丼、夜:おにぎりとサラダと紅茶。
  • さっぱりやる気がおきない。私は追いつめられなければできないから、もう余裕をもってなにかをすることを諦めたらどうか。といつも思うのだが……。
  • 絲山秋子さんの『袋小路の男』(講談社文庫)をだいぶ前に読んだのに感想を書いていなかったので。まず、その「男」は、七年くらい前の私のような気がした。自意識で雁字搦めで、あるいはもっと自制があったかもしれないが、おおかたはあんな感じだろう。自分には何もないのだと分かった(正確には「認めた」)のは、それから二三年待たなければならなかった。何もない自分が「思う」とはどういうことか。Cogito ergo sumはどうしたらいいのか。なんてね。小説は実験的と評されることが多いようだけれど、実験的というよりはバルザック的な狙いを感じる。だから、私は正統的な小説だと思った。もっとも、小説に正統と異端があるのかは疑わしい。常に正統と異端のあいだを往復しつづけることが散文の宿命だとしたら。
  • 年をとるとは厚顔になることだ。厚顔にならずに年をとれば世間知らずになる。よくいわれることだが、あまり無視できない格言である。