喩えの方向性の問題

ねえ、なんでこの発言が問題なのか、きちんと言ってみてよ。言い方とか言い回しの問題? じゃあ内容は良いってことだよな。では、たくさんの美辞麗句をつくして空疎な内容を演説する政治家はいいんですか?
柳沢さんは、「出生率の低下に言及し『機械って言っちゃ申し訳ないけど』『機械って言ってごめんなさいね』との言葉を挟みながら」言ったらしいね。つまり「一般的な意味における『女性』と『機械』は同一ではないですけれど」と言っている訳だ*1。「ただ、限局した意味の範囲では『女性』と『機械』では同一の面があって、その喩えですよ」と言っている訳だ。その「限局した意味の範囲」というのが、「女性の人数」=「機械の数」と言っているんだね。だからここ重要なのは、「女性」と「機械」の対比ではなく、「数」のことなんだよ。数が決まっている、ということを強調したくてこういう比喩を使ったんだろう。それは、比喩として間違っていますか?
もちろん、もっと気をつけて言葉を使うべきだ、というのは、その通りかも知れない。けれども、そうやってどんどん空疎な言葉だけを並べるようになったことにも憤りを感じているならば、内容をきちんとみるようにしていかなきゃダメだと思う。

*1:文脈的論理的に言えば。単純に機械と女性を並べたことに対する伏線と捉えるのも妥当ではあるけれど、そう捉える人は、空気とか文脈とか、その人の言わんとしている意図を斟酌しようとしていないのではないか。