リフレクション

リフレクション(DVD付)
テレビをあまりみないからよく分からないけれど、今日は全国的に大荒れの天気だったという。ここ北海道札幌市も、ちらちらと強風に舞う雪が、ガラス片のように顔に突き刺さるといった様子で、ちょっと勘弁願いたいと思ったが、よく考えたら春分の日だった。
いったいなにが春なんだと思わないでもないけれど、畠山美由紀の"リフレクション"を聴いて春だと思うことにした。
平日のよく晴れた午後に、ずいぶん昔のミステリードラマを見ながらうとうとほのぼのしている感じ。これは、曲が、断崖絶壁の上で泣いて崩れる犯人を映しながら流れるエンディングのたぐいに似ていると言いたい訳ではない。私はそんなに意地悪ではないので、あくまで、そういう日常の風景に根ざしている曲だということを言いたいのであって、けっして、橋爪功が走ったところで映像が止まるのをみてハッピーエンドの安心感を味わっている感じに似ていると言っているわけではない。
それはまあとにかく、日常の風景とはどういうことだろうか。安心と不安は日常につきものだ。ひとびとが安心と感じるそのすぐそばには、不安が潜んでいる。不安を感じないのは、安心にかまけているからだ。特にそれが悪いというわけではない。たが、テレビドラマ的な装置としての安心は、根底にある不安を払拭しようとするはたらきがある。
春は、より不安がます季節といわれる。逆をいえば、それだけ安心を必要としている季節だ。ドラマなり音楽なりが、そうした安心感を生み出せているのならば、それはそれでいいじゃないかと思う。ただ、そこにいつまでもいられるわけではないし、私はあんまりいたいとも思わないんだけれど。