変らないこと

僕はすすんで変ろうとは思わない。今までだって、変ったかもしれないけれど、それは結果であって、目的としていたわけではない。
僕の知り合いが、全然ちがうふうになっていても、僕はそれを、変ったと思えるほどには今のままでいたい。たとえ知り合いが、元よりも良くなっていたり面白くなっていたりしても、そうと分かるのは自分が元のままでいるからだ。
狂人に魅力を感じることはありうる。しかし、自分が狂人になっては、その魅力はわかりえない。正気でいるからこそ分かる魅力がある。
だから、どんどん知人が他方向に前進しても、僕は淡々とやることをやって、たまに外を眺めたり、よっこらしょと腰をおろしたりして、その様を眺めている。そういうことが、僕は、変ることよりも大事だと思っている。変化なんて、放っておいてもするものなんだから。