類人猿と人間の知能試験

基礎を復習しておこう。ゲシュタルト心理学創始者のひとり、ヴォルフガング・ケーラーが、1917年に行った実験「類人猿の知恵試験(Intelligenzprufungen an Menschenaffen)」では、チンパンジーの問題解決を紹介している。
ひとつは、道具の使用。天井に吊るされたバナナをとるのに、箱を他の場所からバナナの下まで引いてゆき、箱に登り、そこからバナナに飛びついたのがこれである。
ふたつに、道具の製作。棒一本では届かない距離に餌を置いておくと、はじめ一本の棒を使って懸命に努力する。それがダメなら、次は様々な方法を試すが、それもダメとなると、ついには課題を放棄してしまう。しかし、しばらく棒をもてあそんでるうちに、偶然二本の棒が一直線になるのに気づいた。すぐさま餌をとりにいき、餌を引き寄せることができた。
今回の記事では、人間(幼児)と類人猿との学習能力の差について大幅な差があることが明らかになった。

2歳半の幼児105人、3〜21歳のチンパンジー106頭とオランウータン32頭を対象に、多数の課題で知能テストをした。
その結果、三つのコップのうち二つに食べ物を入れてコップを選ばせるなどして調べた空間記憶や、数量や因果関係に関する認知能力では、幼児とチンパンジーの成績はほぼ同じだった。オランウータンも空間記憶と因果関係の認知能力では劣ったが、数量に関する認知能力では幼児と差がなかった。
ところが、プラスチックチューブの中身を出すところを見せると、幼児は上手にまねするが、類人猿はチューブをかんで壊そうとした。問題解決法のまね、他者の意図の理解など、社会的な学習能力は幼児の方が圧倒的に高かった。

結構前提があるような気がする。空間記憶とかは対象物の永続性も絡むし。