断片

  • ある種の毒が薬であるように、ある種の感傷もその人を癒すかもしれない。「いや、そんなことはない」――とにかく――「定義の問題なんだ」「そのとおり」――感傷の定義、癒しの定義――あなたたちはずいぶん悲しそうな人たちね、そうやって――自然な感情というやつを認めて、そして無意識を認めて、いったい人間になにが残る?――ただそういう思考がそこにある――全ての物事を単純化する恐ろしい人たち――肺からの呼気を声帯で振動させ、構音器官によって調音された音、すなわち言語音が想定しうる共通のラングによって――チョムスキーはラングは訳が分からないといった――混乱と秩序はどちらが?――二項対立の愚――対立物さえ見抜けなくなった可哀想なひとびと――扉がバタンとしまった。もう一生開くことがないように思われた――
  • 「君はフェアな人間だけれど――そう、それは僕も認めるが――フェアであることが何らかの倫理となりうるだろうか? それは、君の精神や行動において、本当のものもしくは守るべきものと、対応するのだろうか?」